漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「…んっ…」
唇に感じるやわらかい感触にアンバーは震えた。だが、エルミドにされた時とはまったく違った。血が逆流したように身体中が熱くなって、鼓動が壊れそうに高鳴る。それでいて頭は甘くふんわりとしていて、なにも考えられない。
ふわふわと舞い上がりそうになるのをこらえるように、ファシアスにぎゅうと抱き付いて、無意識につぶやいた。
「私も好きよ…ファシアス…」
言霊は、温もりになってアンバーの心を満たす。
もやもやと胸をみたしていた想いがやっと形を成した。そして、その名を知った。
好き。
ずっと言葉にできなかった言葉。
ファシアスが好き。
ファシアスを愛している。
「私も、ずっとずっと好きだった…。片時もお前と離れているのがつらかった…。宮にいる時は淋しくて、おまえが来た時は時がうれしくて、あっという間に時が過ぎて…」
言霊になればもう自分の感情を偽ることはできない。
長い間ひそめてきた大きな想いに突き動かされ、さらに言霊を紡ぐだけだ。
「だから罰が下ったと思った。おまえを裏切り者にしてしまったのも、傷付けてしまったのも、ぜんぶ私のせいと…だから」
そんなことはない、とのばかりに、アンバーを抱き締める腕の力が強まった。そして