漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
ヒュン…!
突然、わずかな沈黙を裂くように、なにかが高速で飛んできた。すかさずファシアスは身をかわしたが、胸を狙ったそれは腕に刺さる…!
「ファシアス…!」
矢傷を負ったファシアスにアンバーが駆け寄った。傷を癒そうとしたが、その暇もなく矢が次々に飛んでくる。
ファシアスはアンバーを抱き締め、矢の的になるように背を向けた―――が、幾本の矢はファシアスの背を射ることなく、すんでで動きを止めて落ちた。
アンバーが咄嗟に『力』を使って見えない壁を作ったのだ。
ファシアスはアンバーを片手で抱きかかえたまま、矢の飛んできた方向へ突進した。木の陰に隠れていた弓兵が驚いて弓をかまえるのをやめたが、あっという間に弓ごと切りすてられる。
その勢いを殺さぬまま、地面に落ちた矢を拾い別の方向へ飛ばした。離れた木の影でかまえていたもう一人の弓兵が、それを胸に受けて崩れた。
あっという間に矢の奇襲から逃れる。が、状況はさらに悪化した。
「いたぞ!」
数名の追跡兵たちが駆け寄ってきて、二人を取り囲んだ。
昨日の倍以上の人数だった。
「アンバー」
背にアンバーをかくまい、ファシアスが呼び掛けた。
「ここは俺がくい止めるから、おまえは逃げろ」
「…な、に言って…」
アンバーはその広い背にすがりついた。
突然、わずかな沈黙を裂くように、なにかが高速で飛んできた。すかさずファシアスは身をかわしたが、胸を狙ったそれは腕に刺さる…!
「ファシアス…!」
矢傷を負ったファシアスにアンバーが駆け寄った。傷を癒そうとしたが、その暇もなく矢が次々に飛んでくる。
ファシアスはアンバーを抱き締め、矢の的になるように背を向けた―――が、幾本の矢はファシアスの背を射ることなく、すんでで動きを止めて落ちた。
アンバーが咄嗟に『力』を使って見えない壁を作ったのだ。
ファシアスはアンバーを片手で抱きかかえたまま、矢の飛んできた方向へ突進した。木の陰に隠れていた弓兵が驚いて弓をかまえるのをやめたが、あっという間に弓ごと切りすてられる。
その勢いを殺さぬまま、地面に落ちた矢を拾い別の方向へ飛ばした。離れた木の影でかまえていたもう一人の弓兵が、それを胸に受けて崩れた。
あっという間に矢の奇襲から逃れる。が、状況はさらに悪化した。
「いたぞ!」
数名の追跡兵たちが駆け寄ってきて、二人を取り囲んだ。
昨日の倍以上の人数だった。
「アンバー」
背にアンバーをかくまい、ファシアスが呼び掛けた。
「ここは俺がくい止めるから、おまえは逃げろ」
「…な、に言って…」
アンバーはその広い背にすがりついた。