漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「いやよ!戦うことはできないかもしれないけれど、今みたいに守ることはできるわ…!だから一緒に…!」

「ぐずぐずするな!!早くいけっ!」


怒鳴られ、アンバーは言葉に詰まった。


「兵たちはどんどんこっちに集まってきている。今の状況であんたを守って戦うのは厳しい。けどさっきのように『力』を使って一人ででも逃げ切れるのなら、そっちの方がまだ助かる可能性がある」

「……」

「『俺はあんたを守る』。頼む。どんなことがあっても、この誓いは果たしたいんだ」


(それじゃまるで『自分はどうなってもいい』って言っているみたいじゃない…)


言い返したかったができなかった。涙が溢れて胸が詰まって、なにも言葉にできなかったから。


「心配するな、俺もかならず追いつく。わかったなら早く行け!走れっ!!」


怒鳴られたアンバーは反射的に走り出した。
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