漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
どこへ?
どこまで走ればいいの?
ファシアス…。
不安と悲しみが脚から力を奪う。立ち止まり振り返るが、ファシアスはすでに兵たちと交戦していた。
一人、二人と剣を交え、切り捨て、次から次に森奥から姿を見せる兵を相手にしている。
「いたぞ!『聖乙女』だ!」
兵の一人がこちらに気づき叫んだが、次の瞬間ファシアスに切り捨てられる。その後ろからアンバーを追いかけようとした一人も続いて切り捨てられる。
立ち止まってはいけない。
早く姿をくらまさなければファシアスに負担がかかる。
アンバーは走った。
もつれそうになる脚を懸命に動かして逃げた。
独りであてどもなく走る心細さ、不安、悲しみ―――頭の中でごちゃごちゃになりながら、すぐに止まりそうになる脚を叱咤して進める。しかし前が見えない。ぼやけてなにも見えない。涙がとめどなく溢れて。
(ファシアスはどうなるの?いくら彼でもあの人数の相手は…いや、だめよ、そんなこと、考えちゃだめ…!)
今は必死に走ること。
木の根や草が生い茂った慣れない道は、アンバーの体力を容赦なく奪う。
だが走る。走らなければならない。
それしか今の自分にはできないのだから―――。
(こんなの、いや…)
どこまで走ればいいの?
ファシアス…。
不安と悲しみが脚から力を奪う。立ち止まり振り返るが、ファシアスはすでに兵たちと交戦していた。
一人、二人と剣を交え、切り捨て、次から次に森奥から姿を見せる兵を相手にしている。
「いたぞ!『聖乙女』だ!」
兵の一人がこちらに気づき叫んだが、次の瞬間ファシアスに切り捨てられる。その後ろからアンバーを追いかけようとした一人も続いて切り捨てられる。
立ち止まってはいけない。
早く姿をくらまさなければファシアスに負担がかかる。
アンバーは走った。
もつれそうになる脚を懸命に動かして逃げた。
独りであてどもなく走る心細さ、不安、悲しみ―――頭の中でごちゃごちゃになりながら、すぐに止まりそうになる脚を叱咤して進める。しかし前が見えない。ぼやけてなにも見えない。涙がとめどなく溢れて。
(ファシアスはどうなるの?いくら彼でもあの人数の相手は…いや、だめよ、そんなこと、考えちゃだめ…!)
今は必死に走ること。
木の根や草が生い茂った慣れない道は、アンバーの体力を容赦なく奪う。
だが走る。走らなければならない。
それしか今の自分にはできないのだから―――。
(こんなの、いや…)