漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「貴方のような方が国を裏切るとは到底思えません!」

「なにも知らずに貴方を傷つけるのはいやだ!」

「なにか理由があるんですよね?」

「どうかお教えください…!ファシアス将軍!」

「アンバー様は本当に裏切り者なのですか??」

「バカを言うな!」


ファシアスの一喝に、声は一斉に静まった。


「おまえらは恥ずかしくないのか?女ひとりに国の平和と安寧を託して?」


静かに、だが鋭くファシアスは続けた。


「俺はいやだ。愛した女ひとりになにもかもを負わせるのは。『聖乙女』は…アンバーは俺のものだ。おまえらにも王族にも民にも、誰にも渡さない。あいつは俺だけのものだ…!」

「それがおまえの罪状だ」


だしぬけに声がした。
威圧的で冷淡なそれに、ファシアスは本能的に憎しみを芽生えさせる。


エルミドが兵たちに守られ姿を現した。
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