漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
黒い霧がいくつかの球となり、石つぶてのようにファシアスに襲いかかった。剣を盾にして弾き返すが、高速の球がいくつかファシアスの身体に当たる。
魔力は毒だ。当たった途端に体力を吸い取っていく。特に先ほど矢を受けた腕には何倍もの苦痛を与えた。焼けただれるような痛みが傷口から広がる。
思わず腕を押さえ苦痛に顔を歪めるファシアスに、エルミドは冷淡な笑みを浮かべた。
「ほぉ、まだ立っていられるとはな」
「は…こっちも借りてるんでね、『聖乙女』の癒しの力ってやつを」
「なに?」
「あんたとちがい、ただの人間にしかすぎない俺は昨晩一度死にかけた。それをアンバーが救ってくれた。この身には、あいつの本当の『力』が宿っているんだ。悪魔なんて胡散臭いもんに借りたあんたの魔力なんかに簡単に屈してたまるかよ」
「ほぉ…」
エルミドは不敵な笑みを浮かべた。
「ならばどこまで耐えられるか、見せてもらおうか」
いくつもの魔球が寄せ集まり大きなひとつの球となった。
ファシアスは内心喜んだ。エルミドに言った言葉はほぼ強がりだった。身体はかなり疲弊している。先ほどのような高速の魔球を避けきることは困難だ。まだひとつになってしまった方がやりやすい。
(弾き返せればの話だけどな…)
だが、なんとしてでもここはしのいでみせる。
この身に残っているアンバーの『力』が腕と剣に集中するよう意識を集中させる。
ここで倒れるわけにはいかない。誓ったのだから。
『おまえは俺が必ず守る』
そうアンバーに約束したのだから。
魔力は毒だ。当たった途端に体力を吸い取っていく。特に先ほど矢を受けた腕には何倍もの苦痛を与えた。焼けただれるような痛みが傷口から広がる。
思わず腕を押さえ苦痛に顔を歪めるファシアスに、エルミドは冷淡な笑みを浮かべた。
「ほぉ、まだ立っていられるとはな」
「は…こっちも借りてるんでね、『聖乙女』の癒しの力ってやつを」
「なに?」
「あんたとちがい、ただの人間にしかすぎない俺は昨晩一度死にかけた。それをアンバーが救ってくれた。この身には、あいつの本当の『力』が宿っているんだ。悪魔なんて胡散臭いもんに借りたあんたの魔力なんかに簡単に屈してたまるかよ」
「ほぉ…」
エルミドは不敵な笑みを浮かべた。
「ならばどこまで耐えられるか、見せてもらおうか」
いくつもの魔球が寄せ集まり大きなひとつの球となった。
ファシアスは内心喜んだ。エルミドに言った言葉はほぼ強がりだった。身体はかなり疲弊している。先ほどのような高速の魔球を避けきることは困難だ。まだひとつになってしまった方がやりやすい。
(弾き返せればの話だけどな…)
だが、なんとしてでもここはしのいでみせる。
この身に残っているアンバーの『力』が腕と剣に集中するよう意識を集中させる。
ここで倒れるわけにはいかない。誓ったのだから。
『おまえは俺が必ず守る』
そうアンバーに約束したのだから。