漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
まるで鉄球のごとき暗黒の魔球がファシアスに向かって放たれた。
エルミドは勝利を確信した笑みを浮かべる。これほどの魔力、いかなる者だろうと受け止められるはずが―――


「なに…!?」


しかしファシアスは受け止めていた。剣で。ただの剣で―――いや。
エルミドは目を疑う。
剣は淡く光を放っていた。まばゆい白光を。見覚えのある光。それは『聖乙女』が放つ聖なる光だった。


「忘れたか!?俺と俺の剣にはアンバーの『力』が宿っているんだ!」


それはつまり絆。

ファシアスとアンバー。
想いはずっと昔から繋がっていた。
アンバーはファシアスを求め、ファシアスもまたアンバーを支えにし、互いに磨きあった。
それが絆。けして他に侵されることのない、二人の想いの証だ。
アンバーが与えてくれた『力』は想いそのもの。それを受け止めた今、恐れるものはなにもない。絆を確かめ合った今、魔力にはけして負けない。


「ちょこざいな…!ならばその力ごと粉々にしてやる!」
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