再び始まった恋。

ここ何日間は毎日、頭の中がこんな事で一杯だった。


いっその事、美智に聞いてしまえばスッキリするのかな?


なんて思ったけど、聞く勇気も無いあたし。



「はぁ…」



考える度、自然と出てくる溜め息。


よく、溜め息ついたら幸せが逃げるなんて言うけど…

あたしには始めから幸せなんて来ていない。


溜め息ついても、つかなくても、どっちにしたって一緒。



あたしには幸せは来ない。



プルルル…プルルル…



仕事が早めに終わってここ何日間は何処も寄る気になれず、

真直ぐ自宅へと帰る日々。



いつもの様に自宅でぼーっとしていると…
鞄の中の携帯電話が鳴ったのに気が付いた。



時計を見ると9時を示していて…



「誰だろ…?」



鞄の中から鳴り響いている携帯電話を手に取り、開いてみる。



「…ッ……」



ハッキリ浮かび上がる

―麻生 健永―の文字。


ドキッと音を立てるあたしの心臓。


どうしたらいいかわからなくて…


出たいのと出たくないのと気持ちが交差していて…


携帯電話に浮かび上がる彼の名を見つめいた。




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