再び始まった恋。

しつこい位に鳴り響いているあたしの携帯電話。


「…………。」


「もしもし?」



鳴り響いている携帯電話を耳に持っていき、
押すか押さないか迷っていた通話ボタンを押すと…


少し、慌てた声の彼の低い声が耳の奥まで伝わってきた。



そんな彼の声に…


あたしは締め付ける様な心を我慢して下唇を噛む。



「もしもし?聞こえてる…?」



「ん。聞こえてる、よ」


言葉を発するのにとても勇気がいる。



「仕事中だった?」



切なげに聞こえる彼の声。



「ううん…」



彼の質問に返事しか出来ないあたし。



どうして…?

そんな悲しい声出さないでよ…



「…何かあった?」



少しは心配してくれてるの?



「ううん…」



上手く話せない。

もう、苦しい…

早く切りたい。

声、聞きたくない。



「…でも、」



「何か用事あった?」



あまりにも苦しくて、苦しくて…何か言い掛けた彼の言葉を塞ぐ様に、
つい冷たい言い方をしてしまったあたし。




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