再び始まった恋。
ドキンッ―
俯いていた彼があたしの瞳を捕らえていた。
この瞳…逸らせない。
一瞬、逸らそうと思った視線…でも、彼の真っ黒な瞳があたしの瞳を逃がさなかった。
「た、楽しかったよ…」
言葉を出すのにも、見つめられてると…上手く出せない。
「…………。」
「…………。」
そしてドキドキしながらも口に出した言葉の返事は無く…
又もや、沈黙。
でも、あたしと彼は未だに見つめ合っていて…
二人の世界にいる様な…そんな感覚に陥っていた。
ジッと見つめて来る彼をあたしも見返すことしか今は出来ない。
悲しいのと…苦しいのと…切ないのとであたしの心の中をぎゅっと締め付ける。
そんな中、彼の両手があたしの頬へ触れた。
冷えた手と触れられた事で身体がビクッとする。
あたしの顔を手で固定して、彼の真剣な顔があたしに近付いてくる。
ゆっくり…ゆっくりと…
言われなくても、聞かなくてもわかる。
あたし…キスされるんだ。