再び始まった恋。
「なんか…些細な事なの。
あたしさ…高校時代にね、凄く好きだった人が居たの。」
少し懐かしそうにも、哀しそうにも見える夕佳里の表情。
「初恋だったんだ。その人に告白したんだけど…呆気なくフられちゃって。へへっ…
それからかな?好きって言う言葉を怖くて言えなくなっちゃったの…
付き合っていても…その言葉を出したら離れていっちゃいそうで…
まぁ、結果的には逆だったけどね。
言ってあげられなくてごめんね…」
そう痛々しい程、微笑んでいる夕佳里。
初恋かぁ。
懐かしい響きだ。
俺はいつだっただろうか?
って…え…
「もしかしてさ、初恋の人って…アイツなの?」
なんかお互い知ってそうな雰囲気だったし、ぎこちなかったもんな…
「ん。そうなの」
アイツが夕佳里の初恋の奴だったのか…
そして、夕佳里をアイツがずっと縛り付けていたのかもしれない。
夕佳里と付き合った時から俺はアイツには敵わなかったんだ。
今も昔もアイツに俺は敵わないんだ。
なんか踏み出せそうな気がする。