再び始まった恋。

「忘れられない、とか?」



「はぁ~?そんな事無いって!加奈子、何言ってるの?」



ほんと…何を言い出すかと思ったら…


昔の事?




「じゃぁ、どうしてよ?」



「何が?」



「夕佳里さぁ、タケさんと別れてから誰とも付き合ってないじゃない。」


あたしを横目でチラッと見て、

グラスの氷を人差し指でツンツンとつついている加奈子。



その加奈子の横顔がとても寂しそうで、

胸がギュゥっと締め付けられた。




そう、この店のマスターである武人とあたしは昔、恋人同士だった。



大学で知り合った加奈子に連れられて入ったサークル。


2歳年上の武人とはそこで知り合った。


明るく、容姿も良かった武人は皆の人気者。


あたしが一番苦手とするタイプ…


第一印象はなるべくなら近寄りたくない。

あたしに近寄ってほしくない。


そんな風に思っていた。



でも、一緒に居る加奈子も明るかった為に
あたしの周りにも自然と人が居て…





< 3 / 178 >

この作品をシェア

pagetop