再び始まった恋。
「忘れられない、とか?」
「はぁ~?そんな事無いって!加奈子、何言ってるの?」
ほんと…何を言い出すかと思ったら…
昔の事?
「じゃぁ、どうしてよ?」
「何が?」
「夕佳里さぁ、タケさんと別れてから誰とも付き合ってないじゃない。」
あたしを横目でチラッと見て、
グラスの氷を人差し指でツンツンとつついている加奈子。
その加奈子の横顔がとても寂しそうで、
胸がギュゥっと締め付けられた。
そう、この店のマスターである武人とあたしは昔、恋人同士だった。
大学で知り合った加奈子に連れられて入ったサークル。
2歳年上の武人とはそこで知り合った。
明るく、容姿も良かった武人は皆の人気者。
あたしが一番苦手とするタイプ…
第一印象はなるべくなら近寄りたくない。
あたしに近寄ってほしくない。
そんな風に思っていた。
でも、一緒に居る加奈子も明るかった為に
あたしの周りにも自然と人が居て…