再び始まった恋。
あたしの耳にハッキリと聞こえた彼の低い声。
彼の吐息が微かにあたしの耳に掛かり、
離れてしまった唇だが
あたしの耳には彼の吐息だけがまだ残っていた。
煩いからあたしの耳に近い所で話た訳ね…
あたしったら…
キスされるなんて勘違いして恥かしい。
そんな事ある訳無いのに。
あたしったら何勘違いしてるのよ。
あぁ~恥かし過ぎる。
「…ど、どうぞ」
片手を前に出すあたしを見て彼は微笑んで頷き、
あたしを残して両替機のある奥へと姿を消した。
彼の姿が見えなくなってから、熱くなった右耳を触ってみる。
まだ彼の声が耳から離れない。
やばいよ…
あたし、このまま此所にいたら…
心臓、破裂して死んじゃいそう。
もし、あの時…
キスされていたら間違い無くあたしはアイツとしてた。
受け入れてた。
少しだけ、彼の唇が知りたくなった。
手の様に冷たいのか…
柔らかいのか…とか。