再び始まった恋。
「そっか…」
残念そうに呟く加奈子の顔があまりにも寂しそうで…
あたしはそれ以上加奈子の顔は見れなかった。
あたし、やっぱ踏み出せない。
始めから上手くいかない恋なんて…
しない方がいい。
アイツはあたしに苦い想い出を背負わせたんだ。
大嫌い!!
あんな、人の気持ちを踏みにじる様なヤツ。
人をバカにする様なヤツ。
「でもさ、夕佳里の携帯を見つめる目…寂しそうだったけど、凄く綺麗だった」
…加奈子。
加奈子を見ると瞳が微かに潤っていたのがわかった。
そんな瞳の加奈子があたしの瞳を捕えて…
「夕佳里、恋の予感ねっ!?」
って言ったと同時に目を細めて笑顔を作った加奈子の瞳から
綺麗に一粒だけ雫が頬を伝った。
恋の予感…
加奈子が口に出した“恋”と言う文字に
あたしの心の奥底が…
トクン…と音を立てた。
もう、恋をしてる自分が想像も付かない。
恋は二度としない。
ずっと、そう思っていたのに…