再び始まった恋。

ガチャっと鍵が解除された音が今のあたしの心臓を、
猛スピードで加速させていた。



勢いで言ったものの、あたしの心の準備が…

まだ出来ていない。



ドキドキしながらその鍵の解除された扉を開く。


この先には彼が…


居るんだよね…



エレベーターに乗り、高鳴る気持ちを押さえて
彼の部屋がある階のボタンを少し震えている指先で押した。



あぁ~心臓壊れちゃいそう…


あたしったら、少し強引だったな…

病人相手に…



エレベーターを降りて、彼の部屋の前まで歩くと
真っ黒な扉に表札には“麻生”の文字。



「…はぁ」



目の前にするだけで、緊張が身体中に伝わって溜め息が出る。




ガチャッ!!



彼の部屋の前で緊張と戦いながら立ち尽くしているあたしの目の前に

彼の姿が目に入った。



ドキンッ…



「あっ…」



インターフォンを鳴らしていないのに、あたしが来たのがわかったかの様に開いた黒い扉。



扉の奥にはスウェット姿のだるそうな…


久々に会う麻生 健永が居た。



< 80 / 178 >

この作品をシェア

pagetop