花萌ゆる、恋。
◎彼女の特権
「え?!藤井梓に水かけられた?!」
次の日。
あやにどうして昨日びちょ濡れになったのかを問い詰められ、藤井くんとの事を話した。
あやのその反応からして、藤井くんと知り合い…?
あやと藤井くんが?
…想像つかない。
「あや、藤井くんと知りっ…」
「あんた何やらかしたの?!やられたのって水だけ?!」
知り合いなの?___そう聞こうとしたがあやによって遮られた。
私の両肩を掴み前後に揺らすあやはすごく必死だ。
そんなに藤井くんの事が気になるの?
「別に何もなかったよ?すごくいい子だったし…」
そう、水はかけられたけど、藤井くんはすごくいい人だった。
見た目に反してよく笑うし、少しだけだけど敬語も使ってたし。
それにお弁当。
家に帰ってお弁当箱を洗おうと開くと、2つとも空っぽだった。
(食べたんだ…2つも)
しかもメモまで入っていてビックリした。
ただ一言『美味しかったです。』と書かれているだけだったけど。
カナ以外の人にお弁当をあげたことなかったので、なんだか新鮮で藤井くんが私のお弁当を食べている姿まで簡単に想像できた。