花萌ゆる、恋。
そんなことを思い出し、フフッと自然と笑みがこぼれた。
あやはそんな私を見て肩から手を放した。
「あんた、もしかして…藤井梓のこと好きになったとかないよね……?」
そうあやに言われて思考が停止する。
きっとそれはそれはマヌケな顔をしていただろう。
「…何言ってるのあや。そんな訳ないでしょ」
「あんた、さっきの顔鏡で見てきなさいよ。」
さっきの顔ってどの顔?
マヌケ面してた顔のこと?
「それに、私が好きなのはカナだけだよ!」
「ああ、うん。そうだった」
なんて、呆れたように頷くあや。
私がカナをどれくらい好きなのか知ってるくせに!
何よその顔!
なんて思いながらも藤井くんが頭の中に浮かぶ。
嬉しそうに笑う、藤井くん。
あやが私が藤井くんを好きだと思ったのは何故だろう。
そんなに顔変だったのかな。
「でもさ、もう関わんない方がいいよ」
「へ?」
「藤井梓と」
あやが真剣な顔つきで私を見る。
さっきも思ったけど藤井くんを知ってる?
「あや、藤井くん知ってるんだね」
そんなことを言うと物凄い形相で私を見てきた。