隣のいじめっ子くん
状況を説明するにも嗚咽で声が出ない。
ひどい顔を見られたくないのに立ち去ることもできない。
あの日も今も、何もできないことが情けない。
仲違いしてしまった日を未だに悔いてる自分が嫌で、思考は暗い方へ暗い方へと引きずられていく。
そのとき、先輩は私の目の前にしゃがんで頭を撫でた。
「…?!」
な、ななな、なに
「ああ、ごめん…ガキの頃泣いた時婆ちゃんがこうしてくれると落ち着いたな、って」
びっくりして顔を上げてしまったことを後悔した。
目の前には私が通う高等部の王子様、桐原 葵先輩がいた。