君にまっすぐ
休み明けの月曜日、駐車場へ向かう。

「武堂様、おはようございます。只今車庫をお開けしますね。」

車のウインドウを開けると、あかりがいつも以上のメロメロ笑顔で丁寧に挨拶をする。
この間誘いを断ったのにと孝俊は少し驚きながらも軽く挨拶をし、車庫へと車を入れた。
その時、あかりがキラキラとした瞳で孝俊の車を見つめているような気がした。

「この車、気になる？」

「あ、はい。いつもの車も素敵ですが、今日の車は一段とかっこいいですね。とても素敵です。」

「昨日は久しぶりに実家に帰ったからね、気分転換に車を変えてきたんだ。よかったら、今度乗ってみる？」

「え！？いいんですか！？」

キラキラな瞳にメロメロ笑顔で前に乗り出してくるあかりに、孝俊は一瞬あっけにとられた。

「え、あ、私ったら、申し訳ございません。お客様になんてことを。社交辞令に食いついてしまって。お言葉だけありがたく頂戴させていただきます。申し訳ございません。」

「いや、社交辞令でもないけど。俺はいっこうに構わないよ。」

「いえいえ、そのお気持ちだけで充分でございます。そろそろお時間ではありませんか？今日もお仕事がんばって下さい。」

「あぁ、ありがとう。」

「いってらっしゃいませ。」

あかりは丁寧にお辞儀をし、孝俊を見送った。
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