君にまっすぐ
来た!
あかりは管理人室のモニターで駐車場入口から入ってくる車を確認すると、急いで車庫に向かう。
聞こえてくる重低音に胸が踊り、顔がにやけてくる。
いけない!気を引き締めないと。
あかりは両頬をパチンと叩き、丁寧にお辞儀をしてこのビル会社の御曹司である武堂孝俊を出迎えた。
「おはようございます。先日は憧れのアヴァンに乗せて頂きありがとうございました。とても楽しい時間でした。」
「…おはよう。楽しんでくれたのなら良かったよ。」
車から出た孝俊はどこか考えこむように真顔であかりを見つめていたが、すぐにいつものような微笑で応えてくれた。
「今日はいつものオルディですね。」
「あぁ、アヴァンはたまにしか乗らないからね。俺にはこっちの方が運転しやすくて。」
「この間のアヴァンも本当に素敵でしたけど、このオルディも最高ですよね。私、この車が一番好きなんですよ。」
「そうなの?アヴァンの方が興奮してたように思えたけど?」
「それは、初めてお目にかかったのでつい興奮してしまって。こちらの車庫担当になる前に初めてオルディに会えたときはおそらくアヴァンの比ではなかったと思いますよ。」
あかりは孝俊の言葉に自分の趣味が露呈してしまったと恥ずかしくなり、照れたような表情を浮かべる。
「また今度、機会があればオルディにも乗せてあげるよ。」
「いえ!そんな何度も甘えるわけにはいきません!」
「だから、上司として機会があればそれぐらいなんてことはないからさ。」
「…。では、武堂様の時間が空いているときにそういう機会があれば、その時はぜひおねがいします。」
普段のあかりならば絶対に断る場面だが、オルディに乗れるかもしれないという誘惑に勝てず、丁寧にお辞儀をしながらついお願いしてしまった。
「わかった。あと、上司に様付けは変だからさ、武堂様はやめてよ。」
「しかし…」
「今後は客ではなく、上司として接してくれないかな。客目線だと堅苦しくて仕方ない。」
「はい、わかりました。武堂様がそうおっしゃられるのならば。」
「だから…」
「あ、すみません。では、武堂専務とお呼びすればいいですか?」
「…。森山田さんってとことん真面目なんだね。そこで専務呼びがくるとは思わなかったよ。さん付けでいいから。」
「はい、では武堂さんと呼ばせていただきます。」
いつもの微笑が最後の方は苦笑に変わってしまっていた孝俊は武堂さんと呼ばれると満足そうにその場を後にした。
あかりは管理人室のモニターで駐車場入口から入ってくる車を確認すると、急いで車庫に向かう。
聞こえてくる重低音に胸が踊り、顔がにやけてくる。
いけない!気を引き締めないと。
あかりは両頬をパチンと叩き、丁寧にお辞儀をしてこのビル会社の御曹司である武堂孝俊を出迎えた。
「おはようございます。先日は憧れのアヴァンに乗せて頂きありがとうございました。とても楽しい時間でした。」
「…おはよう。楽しんでくれたのなら良かったよ。」
車から出た孝俊はどこか考えこむように真顔であかりを見つめていたが、すぐにいつものような微笑で応えてくれた。
「今日はいつものオルディですね。」
「あぁ、アヴァンはたまにしか乗らないからね。俺にはこっちの方が運転しやすくて。」
「この間のアヴァンも本当に素敵でしたけど、このオルディも最高ですよね。私、この車が一番好きなんですよ。」
「そうなの?アヴァンの方が興奮してたように思えたけど?」
「それは、初めてお目にかかったのでつい興奮してしまって。こちらの車庫担当になる前に初めてオルディに会えたときはおそらくアヴァンの比ではなかったと思いますよ。」
あかりは孝俊の言葉に自分の趣味が露呈してしまったと恥ずかしくなり、照れたような表情を浮かべる。
「また今度、機会があればオルディにも乗せてあげるよ。」
「いえ!そんな何度も甘えるわけにはいきません!」
「だから、上司として機会があればそれぐらいなんてことはないからさ。」
「…。では、武堂様の時間が空いているときにそういう機会があれば、その時はぜひおねがいします。」
普段のあかりならば絶対に断る場面だが、オルディに乗れるかもしれないという誘惑に勝てず、丁寧にお辞儀をしながらついお願いしてしまった。
「わかった。あと、上司に様付けは変だからさ、武堂様はやめてよ。」
「しかし…」
「今後は客ではなく、上司として接してくれないかな。客目線だと堅苦しくて仕方ない。」
「はい、わかりました。武堂様がそうおっしゃられるのならば。」
「だから…」
「あ、すみません。では、武堂専務とお呼びすればいいですか?」
「…。森山田さんってとことん真面目なんだね。そこで専務呼びがくるとは思わなかったよ。さん付けでいいから。」
「はい、では武堂さんと呼ばせていただきます。」
いつもの微笑が最後の方は苦笑に変わってしまっていた孝俊は武堂さんと呼ばれると満足そうにその場を後にした。