君にまっすぐ
サイドミラーに車に駆け寄って来るあかりが見える。
焦っているような表情に微笑みながら孝俊は外に出て、あかりを出迎えた。
「遅くなってしまい、申し訳ありません。」
「いや、全然待ってないから。」
「オルディに乗れる嬉しさが隠しきれていなかったのか、帰りに室長に呼び止められてしまって。」
田中め。
「さ、乗って。どこか行きたいところはある?」
「いえ、私は乗れるだけで幸せなので。」
「じゃあ、海沿いでも走ろうか。」
はい、とキラッキラの笑顔で乗り込むあかりに頬を緩めながら孝俊も車に乗り込んだ。
キョロキョロ、キラッキラ、メロメロと擬音が聞こえてきそうなほど、あかりは装備を眺め満足そうな笑顔だ。
そんなあかりを信号で停まるたびに盗み見る。
会話をしようにもあまり言葉が届かないようだ。
満足するまではしばらく好きにさせておこうと孝俊は黙ったままだった。
「森山田さん。」
前回を教訓に初めから肩を揺すりながら声をかける。
「ちょっとタバコ休憩に、コンビニに寄ってもいいかな?」
「あ、はい、もちろんです!」
あかりは、はっと我に返ったように返事をする。
「じゃあ、ちょっと行ってくるけど、森山田さんはどうする?」
「では、私もちょっとお手洗いに。」
用を済ませ車に戻るとあかりは孝俊にコーヒーを差し出した。
「あの、申し訳ありませんでした。」
「え?何が?」
「わざわざ乗せて頂いているのに、自分の世界に入ってしまって会話もせずに。よくよく考えると前回載せて頂いた時も、アヴァンのことで頭がいっぱいで失礼なことをしてしまったような気がします。」
「いや、気にしてないから大丈夫だよ。」
「こんなものではお礼の品にもお詫びの品にもなりませんが、よかったらどうぞ。ブラックでよかったですか?」
「あぁ、大丈夫。ありがとう。」
硬い表情をしていたあかりはホッとしたように安堵の表情を浮かべた。
「ところで、森山田さん。お腹空かない?」
はっとあかりは時計を見るともう7時半を回ろうとしている。
「すみません。興奮で気が付かなくて。武堂さん、お腹空いてますよね?」
「クスッ。そうだね。お礼とかお詫びとか言うならちょっと食事に付き合ってくれないかな?」
「それはもちろんです!今日と前回のお礼にぜひ私に奢らせて下さい!」
そんなあかりの言葉に孝俊は呆気にとられる。
「いやいや、もちろん俺が払うから。」
「ダメです!これは私からのお礼なんです。譲れません。」
「俺だって譲れないよ。自慢じゃないけど、俺は今まで女性にお金を出させたことなんてないんだから。」
「それはお付き合いをされていた女性だからでしょう?」
「それに限らずだよ。」
「でも、私もお礼をしたいですし。」
「だから、お礼はいらないよ。コーヒーで充分。」
「私が納得いきません。」
「俺が年下の女の子にお金を出させるような男に見える?」
「それは見えませんが、私のポリシーに反します。」
「…。」
焦っているような表情に微笑みながら孝俊は外に出て、あかりを出迎えた。
「遅くなってしまい、申し訳ありません。」
「いや、全然待ってないから。」
「オルディに乗れる嬉しさが隠しきれていなかったのか、帰りに室長に呼び止められてしまって。」
田中め。
「さ、乗って。どこか行きたいところはある?」
「いえ、私は乗れるだけで幸せなので。」
「じゃあ、海沿いでも走ろうか。」
はい、とキラッキラの笑顔で乗り込むあかりに頬を緩めながら孝俊も車に乗り込んだ。
キョロキョロ、キラッキラ、メロメロと擬音が聞こえてきそうなほど、あかりは装備を眺め満足そうな笑顔だ。
そんなあかりを信号で停まるたびに盗み見る。
会話をしようにもあまり言葉が届かないようだ。
満足するまではしばらく好きにさせておこうと孝俊は黙ったままだった。
「森山田さん。」
前回を教訓に初めから肩を揺すりながら声をかける。
「ちょっとタバコ休憩に、コンビニに寄ってもいいかな?」
「あ、はい、もちろんです!」
あかりは、はっと我に返ったように返事をする。
「じゃあ、ちょっと行ってくるけど、森山田さんはどうする?」
「では、私もちょっとお手洗いに。」
用を済ませ車に戻るとあかりは孝俊にコーヒーを差し出した。
「あの、申し訳ありませんでした。」
「え?何が?」
「わざわざ乗せて頂いているのに、自分の世界に入ってしまって会話もせずに。よくよく考えると前回載せて頂いた時も、アヴァンのことで頭がいっぱいで失礼なことをしてしまったような気がします。」
「いや、気にしてないから大丈夫だよ。」
「こんなものではお礼の品にもお詫びの品にもなりませんが、よかったらどうぞ。ブラックでよかったですか?」
「あぁ、大丈夫。ありがとう。」
硬い表情をしていたあかりはホッとしたように安堵の表情を浮かべた。
「ところで、森山田さん。お腹空かない?」
はっとあかりは時計を見るともう7時半を回ろうとしている。
「すみません。興奮で気が付かなくて。武堂さん、お腹空いてますよね?」
「クスッ。そうだね。お礼とかお詫びとか言うならちょっと食事に付き合ってくれないかな?」
「それはもちろんです!今日と前回のお礼にぜひ私に奢らせて下さい!」
そんなあかりの言葉に孝俊は呆気にとられる。
「いやいや、もちろん俺が払うから。」
「ダメです!これは私からのお礼なんです。譲れません。」
「俺だって譲れないよ。自慢じゃないけど、俺は今まで女性にお金を出させたことなんてないんだから。」
「それはお付き合いをされていた女性だからでしょう?」
「それに限らずだよ。」
「でも、私もお礼をしたいですし。」
「だから、お礼はいらないよ。コーヒーで充分。」
「私が納得いきません。」
「俺が年下の女の子にお金を出させるような男に見える?」
「それは見えませんが、私のポリシーに反します。」
「…。」