君にまっすぐ
「あのさ、森山田さん。」

「はい、何でしょう?」

「俺と友達になってくれないかな?」

「友達、ですか?」

急にそんなことを言い出した孝俊にあかりは笑顔が困惑顔に変わっている。

「俺、こんなにリラックスして話せる相手ってなかなかいないんだ。俺の肩書とかを見ているような相手ばかりで。でも、森山田さんはそんなものは見ることもなく率直に俺に接してくれる。そんな会話がとても楽しいんだ。だから、たまにこうしてドライブに付き合ってご飯を一緒に食べてくれると嬉しいのだけど。ダメかな?」

「そんな、私なんかで楽しめます?」

あかりは訝しげに孝俊を見る。

「なんか、じゃないよ。むしろ森山田さんだから友達になりたいんだ。」

あかりは孝俊の顔をじっと見て話を聞いていたが、孝俊が真剣なのがわかるとふと笑顔に変わる。

「私も武堂さんとお話するのとても楽しいですし、ましてまたオルディに乗せていただけるなら、私のほうがぜひお友達になっていただきたいです。武堂さんとお友達なんてとてもおこがましいですが。」

「ありがとう。これからは歳の差とか立場とか関係なしだから。」

納得して微笑みを向けてくれるあかりを孝俊は嬉しく思う。

「そうだ。森山田さんって呼ぶの長いし、これからはあかりって呼んでいいかな?」

「はい、もちろんお好きにどうぞ。」

「俺のことは孝俊って呼んで。」

「!?それは無理です!」

ちょっと照れたような驚き顔を見せるあかりに孝俊は意地悪げに微笑む。

「何で?友達になってくれたんだろう?それに敬語もやめてみようか。」

「いやいや!絶対に無理です。友達とはいえ、年上ですし。」

「さっき歳の差は関係ないって言っただろ。」

「ですが。年上の方を呼び捨てで呼んだことなんてないですし!」

「じゃあ、俺が初めての男になれるんだね。」

「!!??」

意味ありげにニヤッと笑う孝俊にあかりの顔が真っ赤に染め上がる。

「武堂さんって、もっと紳士なのかと思ってました!」

「いやぁ、君をからかうのが楽しくって。」

「もう!からかってたんですね!」

「はは。でも、呼び捨てじゃなくていいから武堂さんはなしね。」

あかりは渋々頷いた。
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