君にまっすぐ
「あ、その先のガソリンスタンド付近で止めてもらえますか?」
あかりのマンションまであと少しというところで孝俊に声をかける。
「今日はとても楽しかったよ。また君と話せるのを楽しみにしてる。時間があるときに連絡するから。」
「はい。私も楽しかったです。オルディにも乗せてもらってとっても幸せでした。ありがとうございました。」
あかりはホクホクと満足げな笑顔で孝俊にお礼を告げる。
車を歩道に寄せて止め、孝俊が外に出てエスコートしようとシートベルトを外したところであかりが呼び止めた。
「あの、孝俊さん。」
「ん?どうした?」
「私今日ずっと考えてたんです。孝俊さん言いましたよね?周りにいる女性は肩書きやお金しか見ていないって。」
「あぁ、言ったね。」
急にあかりが振ってきた話題に何を言い出すのかと孝俊は興味ありげだ。
「私、孝俊さんには仕事の時や女性といる時も笑顔でも隙のなさを感じてました。でも、今日私のバカな話を聞いてくださった孝俊さんは声を上げて笑っていて、とても親しみを感じたんです。それにいつもの笑顔より何倍も素敵だと思いました。だから、孝俊さんが今日のような表情見せれば、相手の方もちゃんと孝俊さん自身を見てくれるはずです。世の中にはお金目当てじゃない女性だってたくさんいます。きっと孝俊さんにぴったりの素敵な人が現れますから。」
「そんなこと考えてたんだ。」
最初この話をしたときには何と言っていいか困惑していたのに、ずっとその事を考えてくれていたのかと孝俊は嬉しく思うと共に、真面目に孝俊のことを考えてくれていたあかりに申し訳なさが積もる。
「あの、生意気言ってすみません。この話をしていたとき、孝俊さんの顔が少し悲しそうに見えたので気になってしまって。」
「いや、構わないよ。でも、ある意味俺は女性に敢えて素を見せないことで壁をわざと作って所があると思う。軽い付き合いを望んでいたのもあるし。」
「あ、はい。それはそんな感じですよね。この1年担当させていただいて理解してます。」
「ははっ、そうかバレバレだよな。」
「これまでの孝俊さんを見ていて軽い付き合いしか望んでいないと思ってました。」
「いや、その通りで俺ははっきり言って軽い付き合いしか望んでないよ。」
「それは本当に本心ですか?」
「なっ。本心だよ。ぶっちゃけると初めは君のこともそういう対象にしようと思って声をかけたんだ。」
「…。最初はそうだったかもしれませんけど、今は違いますよね?」
「んー、わからないな。はっきりと違うとは言い切れない。でも、君と話をしたいと思ったのは本当だよ。」
「それは本当だと私も思います。孝俊さんの話からは誠実さを感じましたし。だからこそ、いつもの孝俊さんとの違いが気になったんです。本当は恋愛に限らず真面目な人間関係を築きたい人なんじゃないかって。」
「いや、そんなことは考えたこともなかったよ。」
「本当に生意気を言ってしまってすみません。こうしてすぐ思ったことを言ってしまうのは私の悪い癖なんです。気になることを言ってしまっていたら怒っていただいて構いませんから。」
「君の率直さにはつい俺の素も引き出されてしまうな。君と話していると色々なことに気付かされる。全然嫌じゃないよ。こうして俺に意見してくれる人はなかなかいないから新鮮でちょっと楽しい。また、色々と話聞かせてよ。」
「私なんかの話でよければいつでも誘ってください。あ、でも食事は割り勘で。これは絶対です。」
「え?今日は君の奢りで、次は割り勘?俺に奢らせてよ。」
「私達は友達になったのでしょう?だったら立場は対等です。一方的に奢られるわけにはいきません。」
「…わかった。君は言い出したらきかない頑固な性格なのは今日で学んだから。」
「ふふっ、ではもちろん、安めのお店でお願いします。」
孝俊はがっくりと肩を落として渋々納得し、あかりは満足そうに笑顔で頭を下げた。
あかりのマンションまであと少しというところで孝俊に声をかける。
「今日はとても楽しかったよ。また君と話せるのを楽しみにしてる。時間があるときに連絡するから。」
「はい。私も楽しかったです。オルディにも乗せてもらってとっても幸せでした。ありがとうございました。」
あかりはホクホクと満足げな笑顔で孝俊にお礼を告げる。
車を歩道に寄せて止め、孝俊が外に出てエスコートしようとシートベルトを外したところであかりが呼び止めた。
「あの、孝俊さん。」
「ん?どうした?」
「私今日ずっと考えてたんです。孝俊さん言いましたよね?周りにいる女性は肩書きやお金しか見ていないって。」
「あぁ、言ったね。」
急にあかりが振ってきた話題に何を言い出すのかと孝俊は興味ありげだ。
「私、孝俊さんには仕事の時や女性といる時も笑顔でも隙のなさを感じてました。でも、今日私のバカな話を聞いてくださった孝俊さんは声を上げて笑っていて、とても親しみを感じたんです。それにいつもの笑顔より何倍も素敵だと思いました。だから、孝俊さんが今日のような表情見せれば、相手の方もちゃんと孝俊さん自身を見てくれるはずです。世の中にはお金目当てじゃない女性だってたくさんいます。きっと孝俊さんにぴったりの素敵な人が現れますから。」
「そんなこと考えてたんだ。」
最初この話をしたときには何と言っていいか困惑していたのに、ずっとその事を考えてくれていたのかと孝俊は嬉しく思うと共に、真面目に孝俊のことを考えてくれていたあかりに申し訳なさが積もる。
「あの、生意気言ってすみません。この話をしていたとき、孝俊さんの顔が少し悲しそうに見えたので気になってしまって。」
「いや、構わないよ。でも、ある意味俺は女性に敢えて素を見せないことで壁をわざと作って所があると思う。軽い付き合いを望んでいたのもあるし。」
「あ、はい。それはそんな感じですよね。この1年担当させていただいて理解してます。」
「ははっ、そうかバレバレだよな。」
「これまでの孝俊さんを見ていて軽い付き合いしか望んでいないと思ってました。」
「いや、その通りで俺ははっきり言って軽い付き合いしか望んでないよ。」
「それは本当に本心ですか?」
「なっ。本心だよ。ぶっちゃけると初めは君のこともそういう対象にしようと思って声をかけたんだ。」
「…。最初はそうだったかもしれませんけど、今は違いますよね?」
「んー、わからないな。はっきりと違うとは言い切れない。でも、君と話をしたいと思ったのは本当だよ。」
「それは本当だと私も思います。孝俊さんの話からは誠実さを感じましたし。だからこそ、いつもの孝俊さんとの違いが気になったんです。本当は恋愛に限らず真面目な人間関係を築きたい人なんじゃないかって。」
「いや、そんなことは考えたこともなかったよ。」
「本当に生意気を言ってしまってすみません。こうしてすぐ思ったことを言ってしまうのは私の悪い癖なんです。気になることを言ってしまっていたら怒っていただいて構いませんから。」
「君の率直さにはつい俺の素も引き出されてしまうな。君と話していると色々なことに気付かされる。全然嫌じゃないよ。こうして俺に意見してくれる人はなかなかいないから新鮮でちょっと楽しい。また、色々と話聞かせてよ。」
「私なんかの話でよければいつでも誘ってください。あ、でも食事は割り勘で。これは絶対です。」
「え?今日は君の奢りで、次は割り勘?俺に奢らせてよ。」
「私達は友達になったのでしょう?だったら立場は対等です。一方的に奢られるわけにはいきません。」
「…わかった。君は言い出したらきかない頑固な性格なのは今日で学んだから。」
「ふふっ、ではもちろん、安めのお店でお願いします。」
孝俊はがっくりと肩を落として渋々納得し、あかりは満足そうに笑顔で頭を下げた。