君にまっすぐ
「まぁ孝俊さん、久しぶりね。変わらず素敵だけど、ちょっと元気が無いような気もするわね。」
久しぶりに実家に戻り、両親と対面する。
B.C.ビルディングの社長である父、信俊は母、康代を伴い海外を飛び回っているためめったに顔を合わせることはないが母は息子の変化に敏感らしい。
「久しぶりです。父さん、母さん。」
ローテーブルを挟んで両親の向かいのソファに座る。
「なんで田中がいるんだ?」
傍らに立つ田中に呆れたように問いかける。
「いえ、面白いものが見れるかと思いまして。」
真面目な顔をしてふざけたことを言う田中を思わずにらむ。
「まぁまぁ、田中も家族の一員みたいなものだしな。お前の教育係だし。」
「もう教育係ではありませんよ。」
なだめるように言う父に思わずムキになる。
「ところで孝俊、何か話があるんだろう?」
「ええ、ちょっと結婚について。」
「あら孝俊さん、やっぱりやめる気になったの?やっと本気の女性でもできたのかしら?」
「え?」
「違うの?そんなに元気をなくして私たちに話をしに来たぐらいだから結婚をやめたいということじゃないのかしら?」
「そうです。結婚を考え直したくて。」
「私たちはいいわよ?ね?信俊さん?」
「あぁ、特に問題はないな。公式に発表する前でよかったな。やることが少なく済んで。」
「は?」
両親の発言に言葉を失い呆然となる。
「どうした?」
「いえ、あのこれは政略結婚だったのですよね?本当にいいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。別に正式な政略結婚でもないし。」
「母さん、正式な政略結婚ではないとはどういうことです?俺にわかるように説明して下さい。」
「あら、やっと自分の結婚話に興味をもったのね。いいわ。」
混乱している息子を前に楽しそうに話す母の姿を頭が働かないまま見つめ話を聞く。
「孝俊さんって、本気の恋愛をするタイプじゃなかったでしょ?女性のこととっかえひっかえしえて。これじゃあ、結婚がいつになるかわからないし、孫だって期待できるものじゃなかったから、試しに麗子さんと結婚してはどうかしらって尋ねたら、わかったって了承したのはあなたよ?あぁこの子結婚には本当に興味が無いのね〜ってその時は思ったわ〜。」
当時を思い出しながら息子のことを嘆く母を見つめる孝俊は衝撃の顔だ。
「え、じゃあなぜ麗子さんだったのですか?」
「それはね、麗子さんのお母様の京子さんは私のお友達なのよ。あなたが結婚相手を連れてくる気がなくてだれでもいいと思ってるなら、せっかくだからお友達の娘がいいと思ったのよ。
嫁姑問題も起きないし。」
うふふと笑う母の話についていけない。
「麗子さんが花島銀行頭取の娘だからではなかったのですか?」
「やだ、ちがうわよ〜。」
「父さんはそれについて何も言わなかったんです?」
「お前が了承するなら好きにしたらいいといったんだ。いいと言ったのはお前だろ?」
孝俊は膝に肘をつき、がっくりと頭を下げる。
「俺はてっきりそうだとばかり…。」
久しぶりに実家に戻り、両親と対面する。
B.C.ビルディングの社長である父、信俊は母、康代を伴い海外を飛び回っているためめったに顔を合わせることはないが母は息子の変化に敏感らしい。
「久しぶりです。父さん、母さん。」
ローテーブルを挟んで両親の向かいのソファに座る。
「なんで田中がいるんだ?」
傍らに立つ田中に呆れたように問いかける。
「いえ、面白いものが見れるかと思いまして。」
真面目な顔をしてふざけたことを言う田中を思わずにらむ。
「まぁまぁ、田中も家族の一員みたいなものだしな。お前の教育係だし。」
「もう教育係ではありませんよ。」
なだめるように言う父に思わずムキになる。
「ところで孝俊、何か話があるんだろう?」
「ええ、ちょっと結婚について。」
「あら孝俊さん、やっぱりやめる気になったの?やっと本気の女性でもできたのかしら?」
「え?」
「違うの?そんなに元気をなくして私たちに話をしに来たぐらいだから結婚をやめたいということじゃないのかしら?」
「そうです。結婚を考え直したくて。」
「私たちはいいわよ?ね?信俊さん?」
「あぁ、特に問題はないな。公式に発表する前でよかったな。やることが少なく済んで。」
「は?」
両親の発言に言葉を失い呆然となる。
「どうした?」
「いえ、あのこれは政略結婚だったのですよね?本当にいいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。別に正式な政略結婚でもないし。」
「母さん、正式な政略結婚ではないとはどういうことです?俺にわかるように説明して下さい。」
「あら、やっと自分の結婚話に興味をもったのね。いいわ。」
混乱している息子を前に楽しそうに話す母の姿を頭が働かないまま見つめ話を聞く。
「孝俊さんって、本気の恋愛をするタイプじゃなかったでしょ?女性のこととっかえひっかえしえて。これじゃあ、結婚がいつになるかわからないし、孫だって期待できるものじゃなかったから、試しに麗子さんと結婚してはどうかしらって尋ねたら、わかったって了承したのはあなたよ?あぁこの子結婚には本当に興味が無いのね〜ってその時は思ったわ〜。」
当時を思い出しながら息子のことを嘆く母を見つめる孝俊は衝撃の顔だ。
「え、じゃあなぜ麗子さんだったのですか?」
「それはね、麗子さんのお母様の京子さんは私のお友達なのよ。あなたが結婚相手を連れてくる気がなくてだれでもいいと思ってるなら、せっかくだからお友達の娘がいいと思ったのよ。
嫁姑問題も起きないし。」
うふふと笑う母の話についていけない。
「麗子さんが花島銀行頭取の娘だからではなかったのですか?」
「やだ、ちがうわよ〜。」
「父さんはそれについて何も言わなかったんです?」
「お前が了承するなら好きにしたらいいといったんだ。いいと言ったのはお前だろ?」
孝俊は膝に肘をつき、がっくりと頭を下げる。
「俺はてっきりそうだとばかり…。」