I remember you

「どうしたの！？」
勢い良くドアが開く。
「姉ちゃん！？」
「大丈夫か！？！」
そこに立っていた初対面のはずの人達に駆け寄り、
「お父さん、お母さん、慶太！！！！」
と泣きそうな声で呼んだ。どうしてここにいるのか、この人達は一体何者なのか、分からないのに口が勝手に名前を呼んでいた。自分がどうしてこんな姿なのかも理解できないのに。。でも、私の目の前にある物、人達は私を安心させてくれる。そして、自然と言葉が出たり、動いたりできる。ただ、訳が分からない。考えると頭が痛くなる。
「姉ちゃん！？大丈夫？」慶太が話かける。
「うん……ちょっとゴキブリが…」
気付くとそう返事していた。
「なんだよそれ〜！朝っぱらから勘弁してよな！！」お父さんとお母さんが顔を見合せて笑っている。
「ご飯できてるから、早く降りてらっしゃい」
お母さんが優しい笑顔で声をかける。３人が部屋から出て行ったあと、自然と涙がこぼれた。