次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
プロローグ
「やっぱり好きだなぁ」
話しかけるでもなく呟くと、ネクタイを直していた手を止めて「ん?」と首を傾げた。
「それはパーティがってこと?それとも俺のこと?」
軽く揶揄うような口調で聞かれれば、私の発言も軽くしか受け止められていないと判る。
「もっちろん、駿介がってことだよ!」
だからこそ、その答えはもっと軽く冗談めかしてなくちゃ。
仕方ないなって顔で笑いながら流して、鏡に向き直った彼は全身を細部までチェックする。
それは別にナルシストだからなんてくだらない理由じゃない。彼が誰にも隙を見せない男だからだ。
世界に冠たる企業グループを率いる國井一族の本家、しかも長男に産まれた時から、仕事も私生活も彼の全ては彼自身のものじゃないから。その肩には一族ばかりか、一族が経営する企業の従業員とその家族も背負っている。
重過ぎる責任は聞くだけでも逃げ出したくなるのに、それを引き受けても彼は飄々と笑っている。
國井駿介とはそんな男だ。
話しかけるでもなく呟くと、ネクタイを直していた手を止めて「ん?」と首を傾げた。
「それはパーティがってこと?それとも俺のこと?」
軽く揶揄うような口調で聞かれれば、私の発言も軽くしか受け止められていないと判る。
「もっちろん、駿介がってことだよ!」
だからこそ、その答えはもっと軽く冗談めかしてなくちゃ。
仕方ないなって顔で笑いながら流して、鏡に向き直った彼は全身を細部までチェックする。
それは別にナルシストだからなんてくだらない理由じゃない。彼が誰にも隙を見せない男だからだ。
世界に冠たる企業グループを率いる國井一族の本家、しかも長男に産まれた時から、仕事も私生活も彼の全ては彼自身のものじゃないから。その肩には一族ばかりか、一族が経営する企業の従業員とその家族も背負っている。
重過ぎる責任は聞くだけでも逃げ出したくなるのに、それを引き受けても彼は飄々と笑っている。
國井駿介とはそんな男だ。
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