次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
いつもと同じく三回のノックの後、「失礼します」と入室すると、背広のジャケットをハンガーに掛けた駿介がこちらを向いて、ニヤリと笑った。
「昨日はお疲れさん。昨夜は遅かったけど、身体は大丈夫か?」
「お気遣いありがとうございます。駿介さんもお疲れではないですか?」
「駿介」
秘書として答える私にムッとしたのを隠さない声で言う。
「仕事中ですので‥‥」
「まだ就業時間前だろうが。ってか、就業時間中でも2人の時は駿介って言えって言っただろう。敬語も使うな」
理屈はまんま子供だ。
「そうは言っても立場ってものがあるの。駿介は常務で私はその秘書なんだし。だいたい、仕事じゃなくっても私が駿介を呼び捨てにしてるなんて知れたら、おじ様やおば様方になんて言われるか分からないんだよ?」
敬語のままでは会話が進まないので仕方なくいつもの調子で話すけれど、その内容は駿介にとって納得のいくものではないんだろう。眉間の皺は深いままだ。
「昨日はお疲れさん。昨夜は遅かったけど、身体は大丈夫か?」
「お気遣いありがとうございます。駿介さんもお疲れではないですか?」
「駿介」
秘書として答える私にムッとしたのを隠さない声で言う。
「仕事中ですので‥‥」
「まだ就業時間前だろうが。ってか、就業時間中でも2人の時は駿介って言えって言っただろう。敬語も使うな」
理屈はまんま子供だ。
「そうは言っても立場ってものがあるの。駿介は常務で私はその秘書なんだし。だいたい、仕事じゃなくっても私が駿介を呼び捨てにしてるなんて知れたら、おじ様やおば様方になんて言われるか分からないんだよ?」
敬語のままでは会話が進まないので仕方なくいつもの調子で話すけれど、その内容は駿介にとって納得のいくものではないんだろう。眉間の皺は深いままだ。