次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「はぁぁー」
離れていく二人を見送って、思わず声が出た。緊張と嫌悪で身体中に力がはいっていたらしい。
「悪い、助けるのが遅くなった」
振り返った駿介が心配そうに声をかける。
「大丈夫。駿介はお仕事の話してたんだもん、気にしないで。私も平気だし」
「‥‥そうでもなさそうだぞ?」
ゆっくり下がった駿介の視線を追ってハッとした。無意識に駿介のジャケットを握り締めていた私の手は小さく震えている。
「あっ、ごめん」
ジャケットから急いで離した手を胸元で硬く握るけど、なかなか震えは止まってくれない。
「敏彦は私生活に問題がありすぎなんだ。それが元で離婚したし、ランドホテルも首になってる。睦子叔母が頼み込んで國井化学で働く事になったみたいだが‥‥。心配だから余り近づかないでくれ」
私のほつれた髪を耳に掛ける駿介の視線はさっきまでと違って、限りなく甘く優しい。吸い込まれそうな瞳に、全てを忘れて溺れたくなる。
でも‥‥‥。
離れていく二人を見送って、思わず声が出た。緊張と嫌悪で身体中に力がはいっていたらしい。
「悪い、助けるのが遅くなった」
振り返った駿介が心配そうに声をかける。
「大丈夫。駿介はお仕事の話してたんだもん、気にしないで。私も平気だし」
「‥‥そうでもなさそうだぞ?」
ゆっくり下がった駿介の視線を追ってハッとした。無意識に駿介のジャケットを握り締めていた私の手は小さく震えている。
「あっ、ごめん」
ジャケットから急いで離した手を胸元で硬く握るけど、なかなか震えは止まってくれない。
「敏彦は私生活に問題がありすぎなんだ。それが元で離婚したし、ランドホテルも首になってる。睦子叔母が頼み込んで國井化学で働く事になったみたいだが‥‥。心配だから余り近づかないでくれ」
私のほつれた髪を耳に掛ける駿介の視線はさっきまでと違って、限りなく甘く優しい。吸い込まれそうな瞳に、全てを忘れて溺れたくなる。
でも‥‥‥。