次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「文香さん?ちょっと出てこれるかしら。弟さんの佑さんの事でお話があるの」
受話器越しに聞いた睦子叔母の猫なで声に、ここ数日無視し続けている敏彦さんを思い出して、ぶるりっと体が震えた。
「申し訳ありません、今は勤務時間中なので‥‥」
「あら、優しいお姉さんは弟の将来を潰したいのかしら?」
礼儀正しい断わりの定型文は、やけに楽しそうな声に遮られた。
「私も常識ある人間ですもの、無理は言わないわ。もう少ししたら、お昼の休憩でしょう?その間にお話ししましょう」
一方的に近くのカフェの名前を告げて、電話を切られた。
敏彦さんはまだしも、睦子叔母を無視するのはマズい。そんな事したら、ありとあらゆる手を使って嫌がらせされ、面倒な事になるのは間違いない。
誰より何より自分を優先されたい睦子叔母は、面倒でもどんなに嫌いでも無下に扱ってはいけない存在。
それは一族の共通認識で、だからこそ、彼女は今も自分の気持ちのままに生きている。
受話器越しに聞いた睦子叔母の猫なで声に、ここ数日無視し続けている敏彦さんを思い出して、ぶるりっと体が震えた。
「申し訳ありません、今は勤務時間中なので‥‥」
「あら、優しいお姉さんは弟の将来を潰したいのかしら?」
礼儀正しい断わりの定型文は、やけに楽しそうな声に遮られた。
「私も常識ある人間ですもの、無理は言わないわ。もう少ししたら、お昼の休憩でしょう?その間にお話ししましょう」
一方的に近くのカフェの名前を告げて、電話を切られた。
敏彦さんはまだしも、睦子叔母を無視するのはマズい。そんな事したら、ありとあらゆる手を使って嫌がらせされ、面倒な事になるのは間違いない。
誰より何より自分を優先されたい睦子叔母は、面倒でもどんなに嫌いでも無下に扱ってはいけない存在。
それは一族の共通認識で、だからこそ、彼女は今も自分の気持ちのままに生きている。