次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「いえ、お仕事ですから。あの、それより駿介さんのお昼、何か軽い物でも用意しましょうか?」

午後からも仕事は立て込んでいる。今から外に食べに出る暇はないだろう。

秘書としての心配りを口にした私に駿介が口元を綻ばせた。

「なんだ、優しいな。それは秘書としてか?それとも文香自身として?」

「勿論、秘書として、です。ではサンドイッチでも買って来ますね」

わざとそっけない返事をして、くるりと踵を返した私に、背後から駿介が話しかけた。

「じゃあ、有能な秘書さんにもう一つ頼みだ。今夜、趣味の良いレストランに二人分の予約を頼む。」

「‥‥‥それは、プライベートでのご利用ですか?」

脳裏に夏希さんの姿が浮かぶ。彼女とのデートに使う店を私に予約させようとしているんだろうか?

思わず声が硬くなったが、幸いなことに駿介は気が付いていない。

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