次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「‥‥‥見えなくても、ちゃんとトドメを刺せたし、この方が良かったかも」

二人が幸せに見つめ合う姿なんて、きっとホントに見ちゃったらショック過ぎて死んじゃうかも。
プクプクと泡を吹いて倒れる自分を想像したら、ちょっとだけ笑顔になった。

きっと、大丈夫。

今すぐは無理でも、ちゃんと「おめでとう」って幸せを祈れる。
だって駿介が幸せになったら、國井の家族はみんな幸せだもん。

「ーーーだから私も幸せ」

何度も乗った黒く光るボディの助手席にもう乗る事はないのだと、そっと触れて、目を伏せた。


⌘ ⌘ ⌘


翌土曜日、私は一日中ぼんやりとしている。

昨夜、眠れるようにと飲んだビールのおかげでウトウト出来たけど、明け方に目覚めてからはちっとも眠れない。休日はいつも、昼前まで寝てるのに。

ショックとか、哀しいってわけじゃない。頭が麻痺してるみたいに思考がまとまらなくて、ただただぼんやりしてる。
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