次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「いや、その必要はない。岡崎さんには俺から電話してきちんと謝罪の上で、お話も断ってある」

「そっか。ご迷惑かけました」

岡崎取締役にも申し訳ないことしてしまった。

「文香、今夜、時間取れるか?」

「え?今夜‥‥‥」

急に低くなった声と静かなトーンに、胸が嫌な音を立てる。

「そう、今夜。話したい事があるんだ」

改まって話す事なんて、今の私には一つしか浮かばない。

夏希さんと付き合ってるって話?ううん、もしかしたらもう結婚するって話かもしれない。
そう思ったら、断らずにはいられなかった。

「あ、あの、ごめんなさい。今夜は約束があるの。だから‥‥‥」

「遅くなってもいいんだ。時間も取らせないし。でもやっと決めたから、どうしても今夜‥」

「ダメなの!その‥‥夜遅くなるから‥‥‥どうしてもダメなの」


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