次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
今度こそ反論が喉元まで出かかったが、敏彦さんは相変わらず私の様子なんか気にもせず、自分の話を続けている。
「特に俺は父親がランドホテルの社長だからな、後を継いで社長になるべく生きてきた。他の奴らより、更に一段高いところにいるべき人間なんだ。‥‥なのにっ!」
ドンっと乱暴にワイングラスをテーブルに戻したせいで、赤いシミが白いテーブルクロスを汚す。
「ランドホテルで部長職に就いてた俺が、なんで平社員なんだよ!しかも年下の課長に顎で使われて、しかも休日出勤してやったのに小さなミスをくどくど説教までされて!こんな屈辱的なことないだろう!」
年下とはいえ、入社年次で言えば先輩なのだ。しかも上司なら指示も注意も当たり前の事だ。そんな事も分からないなんて‥‥‥。敏彦さんの常識のなさに呆れると同時に、自分への疑問が湧き上がる。
こんな人を好きになれる?こんな人と、一生を共に生きていける?
みんなにとってそれが最善の策だと思っていたけど、私の心がこんなに拒否反応を示しているのに、可能とは思えない。
やっぱり断って帰ろう。どうしたらいいかは、それから考えよう。
「特に俺は父親がランドホテルの社長だからな、後を継いで社長になるべく生きてきた。他の奴らより、更に一段高いところにいるべき人間なんだ。‥‥なのにっ!」
ドンっと乱暴にワイングラスをテーブルに戻したせいで、赤いシミが白いテーブルクロスを汚す。
「ランドホテルで部長職に就いてた俺が、なんで平社員なんだよ!しかも年下の課長に顎で使われて、しかも休日出勤してやったのに小さなミスをくどくど説教までされて!こんな屈辱的なことないだろう!」
年下とはいえ、入社年次で言えば先輩なのだ。しかも上司なら指示も注意も当たり前の事だ。そんな事も分からないなんて‥‥‥。敏彦さんの常識のなさに呆れると同時に、自分への疑問が湧き上がる。
こんな人を好きになれる?こんな人と、一生を共に生きていける?
みんなにとってそれが最善の策だと思っていたけど、私の心がこんなに拒否反応を示しているのに、可能とは思えない。
やっぱり断って帰ろう。どうしたらいいかは、それから考えよう。