次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
エピローグ
國井の家に帰る車の中、運転席の駿介が私の疑問に答えてくれる。でも照れ臭いのか赤信号でも視線は前を向い向いたまま。目元もうっすらと赤い。

「外商さんにお願いしたのは今朝だ。お前、あれだけ愛されたくせにまだ俺から離れようと考えてるっぽかったから、確実にしとこうと思ってな」

「えっ!?」

まさかバレてるとは思わなかった。確かに、今朝はまだ立場とか考えて、駿介との事は思い出にするつもりだったけど。

「それから、昨夜の支配人の言葉も文香の勘違いじゃない。間違いなく『おめでとうございます』って言われた」

「やっぱり!でも、なんで?」

「俺が言ったからだよ。『俺の婚約者が敏彦に呼び出されたから来店したら連絡くれ』って」

「ええぇぇぇっ!?」

「文香、うるさい。」

「金曜日、お前、睦子叔母さんに呼び出されただろ。それを偶然、ランチに出た幸恵さんが見てたんだ。帰ってきてからかかってきた電話に怯えてるし、具合悪そうだしって心配してくれてたんだぞ」
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