次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
國井次期当主の鶴の一声だったのか。

「ちなみに、俺が到着するまではどんな手を使ってもレストランから出すなとも厳命しておいた。部屋になんか入られたら、取り返しがつかないからな」

最後、低くなった駿介の声に、敏彦さんとの昨夜の不快感と恐怖を思い出して、ぶるりっと身体が震えた。

「ーーありがと」

駿介が来てくれなかったら私は今頃、どんな気持ちでどうしていたんだろう。

「月曜日、幸恵さんと槇村室長に謝らなきゃだね」

沢山心配をかけてしまっていた。小さく呟いたら、予想外の答えが返って来た。

「謝るんじゃなくて、お礼言っとけ。ありがとございます、幸せになりますって」

「そっか。そう、だね。幸せになれたもんね」

自分でもこんな幸福が訪れるなんて思ってもみなかった。ずっと叶わない、祝福されない気持ちだと思ってたから。

「違うな」

「えっ?」
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