次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「最初は文香が高校生の時だ。湊さんといるのを彼氏とデートだと思って、やけにイラついて。自分の気持ちに疑問をもった」

困ったヤツだと笑いながら私を抱き締めて、ゆっくり駿介が教えてくれる。

「で、その後も文香が遊びに行くって出かける度にデートじゃないかと疑って、イライラして。はっきり自覚したのは文香が一人暮らしするって言い出した時だな」

「そんな前から?」

「あぁ。でもまだその時は自分に自信がなかった。この気持ちが女として文香を誰かに取られたくないって事なのか、それとも妹が大人になってくのが寂しい兄としての気持ちなのか」

「ーーーそのわりには『兄』って呼ぶなっていったよ?」

「ははっ、あれは実験だ」

「実験?」

「そう、呼び方って結構メンタルに関わってるから。『兄』って呼ばれなくなってもまだ妹として心配なら、これは恋愛感情じゃないって判断出来る」

「へぇー私、実験道具だったんだ」

その実験のせいで私が複雑な感情を抱いた事を思い出して、つい不機嫌になってしまう。
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