次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「随分熱心に外見てるから、どうしたのかと思ったんだよ」

はっと顔をもどして早口で言う駿介の横顔は少し赤くなっている。キョトン顔、恥ずかしかったのかな?

「車内からウィンドーショッピングしてたの。横暴な上司が予定立てなかったら、今日はふらっと買い物して帰るつもりだったから、その代わり?」

駿介が珍しくカワイイもんだから、調子にのって意地悪く言ったら、なぜか駿介の口角が片方だけ上がった。

「買い物に行きたかったのならちょうどよかった。ほら、到着だ」

コインパーキングに停めて連れてこられたのは真っ白な一軒家。この辺にあるんだから何かのお店なんだろうけど、看板もないから外からは分からない。

「ほら、入るぞ」

私の顔に疑問符がいっぱい浮かんでるのをスルーして駿介が扉を開けた。

「いらっしゃいませ、國井様。お待ちしておりました」

出迎えてくれたのはスタイリッシュって言葉を体現したみたいな男性。華奢と言っていいほど細身で若く見えるけど多分、駿介より少し年上だろう。
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