次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
シルバーグレーにピンストライプのスーツはチャラく見えそうなのに不思議とそうはなっていない。

「ご注文のスーツの受け取りでよろしいですか?」

笑顔で案内してくれる男性の言葉になるほど、と1人頷いた。

ここはオーダーのショップで、駿介は頼んでおいた商品の受け取りに来たんだ。そう言えば個展の前に寄りたい所があると最初から言っていた。

「受け取りも勿論だが、彼女にも一着購入したくて。先に彼女の服を見せてもらえるかな?そうだな、少し華やかな場所に行くのでそこで映えるようなものを」

落ち着いた口調でとんでもない事を言い出した駿介に抗議しようとしたけど、腰に手を回してエスコートされた瞬間、私の口は動きを止めてしまった。

当然エスコートされたのが初めてな訳じゃない。昨夜だってパートナーを務めたくらいだ。でもいつもは腕を組むか肩に手を添えられるかで、今までどんな場面だってこんな強く腰を抱かれた事なんてなかってのに。

私はドキドキと心臓の音に惑わされっぱなしなのに、駿介は素知らぬ顔で店の奥にエスコートしていく。
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