次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
それなら、と仕事の時はいつも束ねている髪を手櫛でハーフアップにしてみる。これなら束ねていた時のクセも気にならないし使っていたバレッタだけでいける。肩から少し下で内巻きになっているカールも可愛く見えるし。

鏡に写る自分に満足して、くるりと回ったら外から声がかかった。

「文香、どうだ?」

「はーい!」

自分史上でもかなり良い仕上がりにウキウキして、返事も弾んでしまう。
シャッと勢い良くカーテンを開けると思った以上の近さで駿介が立っていた。

受け取ったスーツをそのまま着たんだろう。シャツやネクタイは変わっていないのに随分、印象が違って見える。
ダークグレーのスーツは流石オーダーだけあって駿介の身体にフィットしている。特別スポーツマンじゃないけどキチンと節制された、ポヨンもブヨンもしていないしまった身体をいつもよりセクシーに見せてもいる。

「‥‥なんだか、凄くセクシーだね」

間近でみた衝撃に思わず言葉が漏れてしまった。あっ、と口を押さえたけど、勿論戻るはずもない。
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