次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「そうか?‥‥まぁ似合ってると褒められたと思っとくよ」

コホンっと咳払いして答えてくれるけど顔は背けられてるし耳は赤いし、照れている。

「‥‥それより、文香も似合うじゃないか」

数秒で立て直した駿介が視線をこちらに向けて、にっこりと嬉しそうに笑ってくれた。

「ん、ありがと。でも駿介が女性の服を選ぶなんてビックリしちゃった。やっぱり慣れてるの?」

駿介の笑顔が眩しすぎて、お礼を言うはずが余計な事までいってしまった。こんな事言ったらまた怒られそうだ。

ちらりと上目遣いで様子を伺うと、まだ駿介は嬉しそうな顔でわたしを見たままだ。

「そんな訳ないだろ。俺だって2回目だよ。ちなみに、1回目は文香のピアノの発表会の時のドレスな」

‥‥‥ズルい。そんな顔でそんな事言われたら心の中が嬉しいでいっぱいになっちゃうじゃない。駿介は私が一番大切なんだって舞い上がっちゃうじゃない。

さっきの駿介に負けないくらい赤くなった顔をそらして曖昧に返事をする。
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