次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「文香?」

3人でほのぼのとしていたら、不意に後ろからよく知る声を掛けられた。

「え、久美ちゃん?なんでいるの!?」

突然過ぎてびっくりして、大きな声がでた。

「なんでって、前からこの作家さんのファンなのよ。文香にも言ったことあるでしょ?」

「え、そうだっけ?でも植田夏希さんって聞いたら絶対、反応したと思うんだけどなー」

「ふふー。それはね、本名じゃない名前で活動してるからなのよー。文香ちゃん、さっき入口ちゃんと見なかったでしょ?」

「え?ペンネームってことですか?」

「そ。エスティバル・ルナ、夏の月。ペンネームっていうか、雅号ね」

私と久美ちゃんの会話にするりと入った夏希さんさんが『なつき』という本名からとったのだと説明してくれていたら、今度は目の前の久美ちゃんが驚きに大きな声を出した。

「ほ、ホンモノ!?」

「はい。本名は植田夏希と言います。文香ちゃんのお友達?ファンだなんて言ってもらえて光栄です。ありがとうね」

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