次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない

「そう。久美さんもミナトさんも仲が良いんですね」

「ええ、こないだも食事に行って。あ、その時は文香が仕事だって言うから２人で行ったんですよ」

伝説の「殿」に間近から話しかけられいるっていう状況に、久美ちゃんはさっきとは違う意味で舞い上がってるんだろう。問われるまま、どんどん答えていく。
駿介も女子受けの良い紳士的な話し方だし、情報を得ようとしてるんだ。

「あ、ねぇ、そろそろ作品観に行かない？時間なくなっちゃうし、ゆっくり見れなくなっちゃうよ？」

駿介と久美ちゃんの会話、に見せかけた駿介からの一方的な尋問を打ち切るように話し掛ける。
これ以上話したら色々ボロが出てきそうだし。

「ね、久美ちゃんの好きなのってどの作品？」

自然な動きで久美ちゃんの腕を取ると、駿介と夏希さんを置いて奥に進んだ。