次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「文香は久しぶりだろ?」

「3年‥‥ううん、4年振りくらいかな。入社祝いに大介父さん達と来たのが最後だから」

懐かしげに話す私に、駿介も嬉しそうに答えてくれる。


住宅地にひっそりと建つレストラン『月桃』は國井家御用達のフレンチレストランだ。日本人向けにアレンジされたジャパニーズフレンチが大介父さんや耀子母さんだけでなくお祖母様もお気に入りで、家族のお祝いの時などに何度もみんなで来たお店。

とは言え、駿介と距離を置く事を考えてからの私は家族の食事会になるべく欠席していたので、最後に来たのは就職祝いに父さん達と来た4年前だ。

その時もわざと駿介と涼介君は来られないタイミングに予定を組んだので、駿介とこのお店に来るのはもっとずっと前だ。確か、6年前の涼介君の就職祝いだったかな。

「駿介は時々来てるの?」

「俺も最近は来れてないけど、お前ほどじゃない。半年位前にもお祖母様の誕生日に来たしな。ああ、文香はその時もまた来なかったんだっけ?」


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