次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
突然の話に私は軽いパニックだ。

気付かれてないとは思ってなかったけど、そのせいで父さん達に悲しい思いをさせてたなんて‥‥。私はなんて独りよがりだったんだろう。

「ごめんな。それ以外にも沢山、嫌な思いさせてるんだろ?」

苦しそうな顔で謝った駿介は、ゆっくりとこちらに体を向けて優しく頭を撫でてくれる。その優しさはゆっくりと私に染み込んで、思わずポロリと涙が溢れた。

「ううん。そんな事、全然ない。叔父様や叔母様達だって私に嫌がらせしてる訳じゃないし。駿介に素敵なお嫁さん見つけたいだけなんだと思うよ」

思わず溢れた涙が恥ずかしくて、俯いたまま小さく首を振りながら話し続ける。

「それにね、お祖母様も大介父さんも耀子母さんも、駿介も涼介君も、みんなが私を大切に思ってくれてるのも分かってるから」

そう、だからこそ、私は駿介と距離を置こうとしてるんだから。
私を大切に思ってくれる人達に幸せになってもらいたいから。

「だからさ、駿介がさっさと素敵なお嫁さん見つければいいんだよ」
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