次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
だから私は『寂しさを女の子のお世話をする事で埋めようとする寂しいご婦人』を頑張って慰めるのだ!と幼いながらに決意を持って本家に向かったのに‥‥現実は想像とは違った。


「まぁー!まぁまぁ!!なんて可愛らしいのかしら!ねぇ、お着物は好き?それともワンピースの方が好きかしら?あぁ、まずはお茶にしましょうね。私の好きなケーキ屋さんから沢山用意したのよ!」

まるでハートマークが見えそうなほどきゃっきゃとはしゃいで出迎えてくれたのは、寂しいご婦人ではなく、乙女のように可愛らしいお祖母さんだった。

お祖母様は本当の本心で女の子と触れ合いたかったらしい。一緒に住んですぐに分かったが、乙女そのもののような女性なのだ。

「娘や孫娘とお洋服を選んだり、お菓子やお花を楽しんだりするのが夢だったのよ。なのにみーんな男の子で」と拗ねたように言ったお祖母様は愛情いっぱいに私を育ててくれた。
それはきっと自身の希望を叶えるとかそんな事じゃなくて、心からの愛情で。

その後、弟の手足に軽い障害が判明した事もあって、私は高校を卒業するまでずっとお祖母様の元で過ごした。

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