次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
パーティのホストである夏希さんはその後も忙しく、私達の所に帰って来たのはお開きになる少し前だった。

「すっかりおそくなっちゃってゴメンね。久しぶりに会う人間が多くて。これから日本でやっていくなら横の繋がりも大切だしね」

「いえ、私達はパーティを十分楽しんでいたので。気にしないで下さい」

実際、とても楽しかった。会場には夏希さんやその友人の作品も飾られていたし、ジャズの生演奏もあった。
それに、友達と三人で集まったのだ。女子のご多聞にもれず、おしゃべりをたっぷり楽しんだ。

「で、湊ちゃんを誘った理由だよね?」

「はい」

フフッと笑いながら、夏希さんが種明かしをしてくれた。

「駿介君との会話に出てきたっていうのは本当。でも興味がわいたのは、私が想像した湊ちゃんは女の子だったのに、駿介君は文香ちゃんの彼氏だと思ってるから、かな。
だって久美ちゃんの話とか聞いたら、学生時代からの仲良しなんだなーって普通すぐに分かるでしょ?なのに、あんなに探り入れて。私が話題振った時もやたら心配してるの」
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