次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
そんな私に今、出来ることは、なるべく予定を作る事だけだ。

「で、週末はまた蔵本の家に行くのか?」

「うん、もうすぐ佑の誕生日だし」

「二十歳?」

「そう、早いでしょ。佑が二十歳って事は、私が國井の家に初めて行ってから二十年って事だもんね。ちょっとしみじみしちゃった」

「そうだな」

本日のランチだというブリトーを頬張りながら訥々と、でも心地よい会話を続ける。

「文香のチキンは美味いか?」

「うん、美味しいよ」

自分のチョリソーのブリトーを食べ終わった駿介の問いに頷くと、手首を掴まれて引っ張られる。

「あっ‥‥」

驚いて声を上げた私を一瞬見つめてから、そのまま齧りかけのブリトーに噛みついた駿介は、私の指に滴るソースもそっと舐めとった。

ぞくりっとする感覚に小さく身体を震わせると、満足気に眼を細めた駿介がゆっくりと口角を上げる。

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