冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「グレイスが言ったのか、ワタシに聞けと」
「はい」
「ワタシの罪を、今ここで懺悔しろということだろうな」
「罪……? 懺悔するほどの罪を、父上は犯したのですか」
大きく溜め息を吐いた国王は、執事を部屋の外に下がらせる。
フィリーナが自分も一緒に下がろうとすると、ディオンの温かな掌に腕を掴まれ引き止められた。
その様子をじっと見ていた国王は、ディオンのそばについた小娘に目を向けると薄く微笑んだ。
「どうやらただの使用人ではないようだな、その娘」
肯定しないディオンは無言を返し、そして否定もしなかった。
「レティシア姫との婚約を、今夜発表したのではなかったか」
フィリーナが婚約を引き合いに出されるような関係にあると、国王は鋭く見抜く。
ディオンの察しの良さは、間違いなく国王から引き継がれたものだ。
「はい」
「ワタシの罪を、今ここで懺悔しろということだろうな」
「罪……? 懺悔するほどの罪を、父上は犯したのですか」
大きく溜め息を吐いた国王は、執事を部屋の外に下がらせる。
フィリーナが自分も一緒に下がろうとすると、ディオンの温かな掌に腕を掴まれ引き止められた。
その様子をじっと見ていた国王は、ディオンのそばについた小娘に目を向けると薄く微笑んだ。
「どうやらただの使用人ではないようだな、その娘」
肯定しないディオンは無言を返し、そして否定もしなかった。
「レティシア姫との婚約を、今夜発表したのではなかったか」
フィリーナが婚約を引き合いに出されるような関係にあると、国王は鋭く見抜く。
ディオンの察しの良さは、間違いなく国王から引き継がれたものだ。