冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
12章 ヴィエンツェ
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翌朝、ヴィエンツェ御一行を見送った後。
ディオンの部屋で、グレイス、ダウリスとイアンにだけは、これからのディオンの意向を密に話をした。
当然のように従者の二人は強く反対をした。
それでもディオンの意志が固いことを告げると、ダウリスは今度は自分も共に国を出ると言い張った。
イアンに制されるダウリスは、乗り出していた身をおずおずと正し、窓際のテーブルに着きしばらくじっとしていたグレイスの動向をうかがった。
突然のことにグレイスも驚いたようだったけれど、自身の思いと相談したのち、一度部屋の入り口に佇むフィリーナに目配せをしてから、窓を背にするディオンを見上げて言った。
「ヴィエンツェには何と説明するつもりだ」
「国王陛下には、私は病死したとでも伝えてくれ。だが、レティシアにだけは正直に話そう。お前と共になりたかったのだから、事情は知っておいてくれて構わない」
「そうか、……わかったよ」
溜め息を置いて頷いたグレイスに、従者の二人は「グレイス様!」と声を揃えて止めようとした。
翌朝、ヴィエンツェ御一行を見送った後。
ディオンの部屋で、グレイス、ダウリスとイアンにだけは、これからのディオンの意向を密に話をした。
当然のように従者の二人は強く反対をした。
それでもディオンの意志が固いことを告げると、ダウリスは今度は自分も共に国を出ると言い張った。
イアンに制されるダウリスは、乗り出していた身をおずおずと正し、窓際のテーブルに着きしばらくじっとしていたグレイスの動向をうかがった。
突然のことにグレイスも驚いたようだったけれど、自身の思いと相談したのち、一度部屋の入り口に佇むフィリーナに目配せをしてから、窓を背にするディオンを見上げて言った。
「ヴィエンツェには何と説明するつもりだ」
「国王陛下には、私は病死したとでも伝えてくれ。だが、レティシアにだけは正直に話そう。お前と共になりたかったのだから、事情は知っておいてくれて構わない」
「そうか、……わかったよ」
溜め息を置いて頷いたグレイスに、従者の二人は「グレイス様!」と声を揃えて止めようとした。