冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
あの小さな背中には、大きく輝かしい未来が見える。
あの責任感の強い瞳が、いつかこの国を守っていくに違いない。
それを実現するためには、救わなければならない大切なお方がいる。
あの子達の未来を輝かせてくれるであろうお方を、今失ってはいけないのだ。
「他に物資の必要な方は……」
叫ぼうと立ち上がったとき、いつの間にか町の人達が怪しみながらも少しずつ姿を見せてくれていた。
「パンを、いただけますか」
声を掛けてきた女性は、フィリーナの身なりにぎょっとしたものの、パンを渡すと嬉しそうに頭を下げて帰っていった。
それを皮切りに、町の人達は次々に広場に集まってくる。
フィリーナを見るなり目をしかめる人もいるけれど、それどころではない人達を見ると、よほど飢えているのだと、あらためて国王様への歯痒さが込み上げてきた。
「わたしにもパンを!芋でもいい!」
「薬はありますか!?」
「何でもいいから、食べ物を!」
あっという間に人だかりができ、一緒に来てくれた門兵の男性がその場を取り仕切ってくれる。
食糧と言うだけで、こんなにすぐに人が集まってくる現状に、胸が痛んだ。
あの責任感の強い瞳が、いつかこの国を守っていくに違いない。
それを実現するためには、救わなければならない大切なお方がいる。
あの子達の未来を輝かせてくれるであろうお方を、今失ってはいけないのだ。
「他に物資の必要な方は……」
叫ぼうと立ち上がったとき、いつの間にか町の人達が怪しみながらも少しずつ姿を見せてくれていた。
「パンを、いただけますか」
声を掛けてきた女性は、フィリーナの身なりにぎょっとしたものの、パンを渡すと嬉しそうに頭を下げて帰っていった。
それを皮切りに、町の人達は次々に広場に集まってくる。
フィリーナを見るなり目をしかめる人もいるけれど、それどころではない人達を見ると、よほど飢えているのだと、あらためて国王様への歯痒さが込み上げてきた。
「わたしにもパンを!芋でもいい!」
「薬はありますか!?」
「何でもいいから、食べ物を!」
あっという間に人だかりができ、一緒に来てくれた門兵の男性がその場を取り仕切ってくれる。
食糧と言うだけで、こんなにすぐに人が集まってくる現状に、胸が痛んだ。